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変形性股関節症の機能改善を目指すスアイヨガのアプローチ
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こんにちは、SUAYヨガ認定講師のMANAMIです。
今回は、変形性股関節症とヨガについてお話したいと思います。
まずはじめに、変形性股関節症の方にはヨガをおススメできないという記述もありますが、温存療法(手術などで原因を直接取り除くのではなく、身体への負担をかけずに症状の改善などを行う治療法)として運動を進めておられる治療家の方もいらっしゃいます。
スアイヨガでは、変形性股関節症の方も、股関節の仕組みを知りながら、筋肉の正しい筋走行を考えて運動することで症状の改善を目指してます。
変形性股関節症とは?
関節軟骨の変性・摩耗による関節破壊と、骨硬化や骨棘などの変形・破壊や関節滑膜の炎症がおき関節変形をきたすものを変形性股関節症と言います。
疼痛や運動障害からADL障害(日常生活動作の低下=体力・筋肉・筋肉量・骨密度・内臓機能などの身体機能が低下すると、立位・歩行の障害)により、杖や介助を要するようになるのが股関節疾患の特徴です。
また、まだまだ研究は少ないものの、米国ではヨガも変形性関節症の補完治療の一つとして挙げられています。
厚生労働省eJIM:変形性関節症に対する補完療法について知っておくべき7つのこと>
実際にヨガのスクールに来ておられる方も正座、あぐら座が辛い、膝が痛いという理由でヨガでの改善を目指されている方がおられます。
症状は?
初期は歩行時のだるさや運動開始時の痛みがあり、進行すると安静時痛(何もしていない時でも痛む)や夜間時痛(夜寝ている時でも痛む)に悩まされたり、筋力低下により股関節の可動域に制限が起こり、脚の長差もおこり、片方に重心が偏り、膝痛や腰痛を誘発してしまい、日常生活に支障きたします。
これらの症状は女性に多く見られることがあります。
年数が経過するとともに、
- 関節裂狭小化(関節の隙間が狭くなる)
- 骨棘形成(関節の軟骨が硬くなって骨化する)
- 骨嚢胞形成(骨の中に空洞ができ、その中に水が溜まる)
- 骨硬化(骨が硬く白くなる)
- 骨頭扁平化(大腿骨頭が平らになる)
のような症状がみられます。
治療方法は?
- 保存療法/心身療法
- 手術療法
などが一般的な治療法としてあります。
まずは、どの年齢においても保存療法・心身療法を試みて、保存療法にて症状の緩和がみられない場合や、関節症の進行がみられる場合は手術療法を考えるという流れが身体への負担も少なくなります。
保存療法の中には、
- 運動療法(SUAY:関節が硬まって動きにくくなっている症状の改善、股関節周囲筋の筋力強化)
- 薬物療法
- 温熱療法
- 針治療
などが含まれています。
手術療法の中には、
- 骨盤側の骨切術
- 大腿骨側の骨切術
- 人工関節置換術
のようなものがあります。
スアイヨガは、運動療法としてポーズを使って機能低下している箇所を見つけ、運動することで機能改善をおこないます。
特に変形性股関節症の場合、まず股関節周囲筋から見ていきます。
股関節とは?
- 上半身と両下半身をつなぐ、人体最大の関節
- 骨盤(寛骨臼)と太腿(大腿骨頭)で構成される球関節
大腿骨頭という球状の部分が、寛骨臼というくぼみにはまりこむ形になっています。(球関節…関節頭が球状になっており、球状の中心部を軸に多方向に回転する関節)
特徴としては
- 正常な股関節では、寛骨臼が骨頭の4/5を包みこむことで関節を安定させている
- 股関節には、歩くだけでも体重の3~4倍の力がかかると言われていて、身体を支えるのに重要な役割を果たしている
- 多くの靭帯や筋肉などで全体を覆われているため、安定して色んな動きが可能である
など身体を動かすためにとても重要な役割を果たしています。
股関節の機能
股関節の基本的な動きは
- 屈曲・・・関節が折れて曲がること
- 伸展・・・関節を伸ばすこと
- 外転・・・身体の中心軸から遠ざける動き
- 内転・・・身体の中心軸に近づける動き
- 外旋・・・外へ回す動き
- 内旋・・・内に回す動き
の6種類の運動が可能です。
関節を曲げる動きを屈曲といい、反対の伸ばす動きを伸展といいます。
また、股関節を起点に太腿を外に開いていく動きが外転、内に閉じていく動きが内転。
太腿を外に回していく動きが外旋、内に回していく動きが内旋と言います。
これらの動作に関連する筋肉は多数あります。
股関節の動作に関係する筋肉
股関節の動作に関する筋は
- 股関節屈筋群・・・大腰筋・小腰筋・腸骨筋・縫工筋・大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋
- 股関節伸筋群・・・大殿筋・大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋(ハムストリングス)
- 股関節外転筋群・・・中臀筋・小殿筋・大腿筋膜張筋
- 股関節内転筋群・・・恥骨筋・長内転筋・短内転筋・大内転筋
- 股関節外旋筋群・・・梨状筋・内閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋・外閉鎖筋
これだけ多くの筋肉が股関節の安定性と可動性の機能を保っています。
これらの筋肉の機能低下は、股関節の可動域に制限がかかり、症状が進むと痛みや歪みが生じ、炎症がおきます。
特に重要とする筋肉
大腰筋・・・大腰筋は股関節をまたいで上半身と下半身を繋ぐようについている筋肉なので、骨盤と大腿骨の隙間が狭くなってきているということは、大腰筋は機能低下していると判断します。
スアイヨガのブログでは、この大腰筋についての記載が多いです。
それだけ私たちは、この筋肉の必要性を伝えています。
大腰筋についての詳しい解説はこちらの記事でしていますので解剖学について持っとりたいという方はぜひお読みください。
それ以外の股関節に関係する筋肉の中でも、これらの筋肉の機能低下も変形性股関節症には関係していると考えます。
- 腸骨筋・・・大腰筋とともに股関節をまたいで大腿骨についている
- 梨状筋・・・仙骨から大腿骨の外側についている
- 中臀筋・・・腸骨から大腿骨の外側についている
- 恥骨筋・・・内転筋群、大腿直筋、ハムストリングス
おすすめのヨガ運動は?
側屈
1.両足を揃えて立ち、右手を前から上に向かって上げていきます。
その際、肩・首はつまらないように、お腹を伸ばしていくと肩は下がりながら腕が上がります。
2.鼻から吸う息で、お腹が薄く長くなり、右手は上にあげたまま、左手は太ももの横で下に下げていきます。身体の中心はずれないところまでにします。
捻転
1.両足を揃えて立ち、両手を胸の前で重ねて下に下げてセットする。
2・両膝を伸ばしたまま、お腹と股関節を曲げないようにして、太腿の付け根から右後ろに回していく。
身体の中心はずれないようにしながら後ろを見に行く。
ヨガでの変形性股関節症改善事例
以下は変形性股関節症の方のお写真です。
20年前に左の股関節症と診断されています。
だからといって左の股関節だけが悪いのかというと、右の大腰筋の機能低下がみられ、骨盤の高さ、お尻の高さ、脚の長さ、肩の高さ、その他、捻じれも見られます。
この場合、股関節をまたいでついている大腰筋だけでなく、股関節周囲筋の機能低下により、右大腿骨が後方へ変位し、骨盤と大腿骨の間の隙間が狭くなって、左は突き上げるようにつまっています。
結果、先ほども述べたように、股関節だけでなく、膝関節も屈曲しています。
ヨガ運動で行った改善方法
レッスンは週に1回、毎回、大腰筋の機能低下をチェックし、呼吸法・ポーズを使って股関節周辺の機能改善をしていきました。
私たちは常に重力がかかっている中で暮らしているため、生きてるだけで筋肉の機能低下は起こります。そのため、週1回のレッスンとご自宅でも、機能低下をチェックしお伝えしている改善方法の運動を継続していただきました。
先の写真は1レッスンのbefore/afterですが運動は継続することで身体を維持できると考えます。
機能改善することにより、痛みが軽減し、遠くまで出かける楽しみが増えたそうです。
股関節周囲筋をポーズでチェックしてみよう
下のポーズで膝が浮かない場合はお尻の筋力低下あり!
変形性股関節症の原因でもある、股関節周辺の機能チェックをすることで正常な身体の使い方ができるかどうかをみることができます。
股関節周りの筋肉の機能低下は大腰筋の進展を邪魔するので、上記の運動や膝立ちの運動をすることが機能改善に効果的だと考えます。
長い人生を健康に生き抜くためにも、自分の身体を知り、大切に長持ちするように使いたいものですね。
奈良・生駒(平群)店
SUAYヨガ・ルーシーダットン 認定インストラクター
自身の身体の歪みの経験からインストラクターに。身体の歪みの原因は遺伝だと思い諦めていたが、SUAYヨガを通じて身体のクセや弱い部分が原因であり、それらに気がつくことが改善につながると実感。自分の様な思いをしている方を少しでも楽にしてあげることを目指しSUAYヨガ認定講師として活動中。